体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
血中乳酸値による体外循環の検討
北脇 丈博森田 高志笹川 繁石井 正晃本田 博一
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 31 巻 4 号 p. 402-404

詳細
抄録
【要旨】体外循環中の乳酸値の変動および乳酸値に影響を与える因子を明らかにするため,多変量解析により検討をした。対象は当院で行われた待機的On pump冠動脈バイパス術34例とした。血中乳酸値を体外循環開始時から30分間隔および終了時に測定し,検討対象とした因子を説明変数として,体外循環中の乳酸値変化量を目的変数として重回帰分析を行った。血中乳酸値は体外循環開始時より増加し,体外循環終了時に最高値となった。また重回帰分析の結果,血中乳酸値の変動と相関があるものは体重,大動脈遮断中の灌流圧,体外循環時間,希釈率であった。体重,大動脈遮断時間は負の相関,体外循環時間,希釈率は正の相関であった。これらの因子により体外循環中の血中乳酸値の増加を抑制できる可能性が示唆された。血中乳酸値を測定することで,体外循環中の循環動態,組織酸素負債などを評価することができ,安全な体外循環の指標として血中乳酸値の値が使用できることが唆示された。
著者関連情報
© 日本体外循環技術医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top