抄録
低充填量小児用動脈フィルターのモデル(JMS社製)を実験検討する機会を得たので,TERUMO社製CX-AF02とDIDECO社製D736との圧力損失,気泡捕捉量を比較検討した。模擬回路は,送脱血6mmの開放型ローラーポンプ回路で,人工肺にはBABY RXを使用し,牛血を用い血液温32℃で検定した。流量0.5~2.5L/min時の出口圧,入口圧の平均の差を圧力損失とした。気泡捕捉量は,流量1.5L/min時で出口圧を100mmHg,人工肺と動脈フィルターの間より空気を2.OmL/minで継続注入し,動脈フィルター出口で40μm以上の気泡を検出した時点での動脈フィルター内の気泡を回収し測定した。その結果,圧力損失は2.5L/min時のJMS社製:29.3mmHgと他2種の動脈フィルターと,同等もしくはそれ以下であった。気泡捕捉量は,JMS社製は8mLと少量であったが,捕捉率は53.3%であった。容量15mLの小児用動脈フィルターのは,従来品と比較し25mL削減され,また出入口のポートが水平であることで回路短縮が可能となり,更なる充填量の削減が期待できる。小児においては無輸血手術,希釈率軽減を目的とした低充填量化に対応しうる小児用動脈フィルターとして臨床使用可能と考える。