抄録
【要旨】体外循環では,血液成分と高分子素材が直接接触することにより,全身の炎症反応などを引き起こす。そのため,当施設ではヘパリンコーティングなどを中心に生体適合性に優れた材料を使用している。その中で,今回,ミクロドメイン構造のエクセラインバイオコーティング回路を使用し,ヘパリンコーティング回路との臨床使用における比較検討を行った。対象は,A-Cバイパス術と限定し,エクセラインバイオコーティングをB群,ヘパリンコーティングをH群とした。採血(白血球,C3a,血小板,β-TG,TAT)は,麻酔導入後,体外循環開始30分,60分,90分,体外循環終了60分とし,白血球,C3aのみ第1病日,第3病日,第5病日,第10病日に採血した。その結果,患者Data,補体・白血球系,血小板系,凝固系において,両群間に有意差は見られなかった。ヘパリンコーティング回路と同等な生体適合性を有することが示唆された。