抄録
【要旨】過去2回の大動脈手術後の解離性胸腹部大動脈瘤に対し,閉鎖式部分体外循環法にて人工血管置換術を施行したので報告する。症例は30歳男性。マルファン症候群。過去にBentall術,上行弓部人工血管置換術を施行している。今回,胸腹部大動脈解離に対して人工血管置換術を行った。補助手段は心拍動下に閉鎖式部分体外循環法を用いた。方法は遠心ポンプを用いたF-Fバイパスで行い,血液量調節は独立したローラーポンプにて行った。更に腹部主要臓器送血用回路を設けた。術中体温は34℃ で行い,ECUM,自己血回収装置を併用した。腹部主要血管と肋間動脈を4本,腰椎動脈を2本再建した。またSEPをモニターした。肋間動脈送血は術野側送血回路を分岐し送血し,腹部主要臓器の送血は別のポンプにて行った。体外循環は無輸血で施行した。術中の循環動態の変動は少なく,安定した体外循環が可能であった。術後は脊髄障害もなく軽快退院した。本法は再手術の補助手段として有用であると考えられた。