体外循環技術
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急性A型解離緊急手術における心尖部送血の意義
すみやかな体外循環の導入
玉城 聡赤地 吏小川 竜徳坂本 哲也石黒 芳紀和田 真一鈴木 義隆上田 恵介
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2007 年 34 巻 2 号 p. 117-119

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抄録

Stanford A型急性大動脈解離症例における送血部位の選択として経心尖部大動脈送血法を用いている。その手技の有用性について検討を行った。2002年1月から2006年3月までに施行したStanford A型急性大動脈解離症例の40例について、経心尖部大動脈送血法を用いた症例をA群(27例)、右腋窩動脈・大腿動脈送血併用法を用いた症例をB群(13例)とし、手術時間、執刀から体外循環導入までの時間、体外循環時間、大動脈遮断時間、循環停止時間、脳灌流時間、心肺水分バランス、術中出血量などのパラメータについて検討を行った。執刀から体外循環導入までの時間はA群53±13min、B群118±31minでA群が有意に短かった(P<0.05)。本送血法は準備が容易で手技も単純であるが、挿入時の血行動態の維持、カニューレ挿入時の位置確認、体外循環開始時の左室ベンティングを確実に行うことが重要である。経心尖部大動脈送血法は、右腋窩動脈・大腿動脈送血併用法に比べて執刀から体外循環確立までの時間が短縮でき、迅速な体外循環の導入が可能であった。

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© 日本体外循環技術医学会
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