日本摂食障害学会雑誌
Online ISSN : 2436-0139
原著
COVID-19流行下における神経性やせ症と回避・制限性食物摂取症の新規外来患者および入院患者数の全国調査
井上 建小坂 浩隆岡崎 玲子飯田 直子磯部 昌憲稲田 修士岡田 あゆみ岡本 百合香山 雪彦河合 啓介河野 次郎菊地 裕絵木村 大越野 由紀小林 聡幸清水 真理子庄司 保子髙倉 修高宮 静男竹林 淳和林田 麻衣子樋口 文宏細木 瑞穂水田 桂子米良 貴嗣山内 常生山崎 允宏和田 良久北島 翼大谷 良子永田 利彦作田 亮一
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 3 巻 1 号 p. 3-12

詳細
抄録

COVID-19パンデミック下,摂⾷障害患者における社会からの孤立,受診控え,症状の悪化,さらに新規患者の増加などが報告された。そこで我々は,2019,2020,2021年の神経性やせ症(Anorexia Nervosa: AN)および回避/制限性食物摂取障害(Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder: ARFID)の新規患者数,入院患者数,性別,年齢層,COVID-19の影響の有無について,国内で摂食障害を専門的に診療している医療機関に対して調査を依頼した。すべての項目に回答のあった28施設の結果について集計・解析した。ANの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は400人,266人,2020年は480人,300人,2021年は610人,309人であった。一方,ARFIDの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は70人,15人,2020年は97人,22人,2021年は112人,17人であった。AN,ARFIDともに2019年と比較して2020年,2021年は新規患者数,入院患者数ともに増加し,これは10代でより顕著であった。さらにANにおいては20代の患者も増加していた。COVID-19 パンデミック下にARFID 患者数の増加が示されたことは重要な知見であると考えた。

著者関連情報
© 2023 日本摂食障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top