日本摂食障害学会雑誌
Online ISSN : 2436-0139
特集企画~摂食障害の背景を理解する~
発達障害と摂食障害
眞田 陸小坂 浩隆
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2023 年 3 巻 1 号 p. 13-21

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抄録

近年,発達障害と摂食障害の関連性は徐々に明らかになってきている。摂食障害の患者で自閉スペクトラム症(ASD: autism spectrum disorder)の特徴をもつ患者は多く,ASD特性の感覚の問題やこだわりが,摂食障害の症状につながっている可能性がある。また,注意欠如・多動症の症状も摂食障害と関連し,とくに衝動性は過食行動と関連している。しかし,発達障害は摂食障害の原因であるという因果関係は十分にわかっておらず,発達障害が摂食障害の特異的な素因であるのか,非特異的な素因であるのかもわかっていない。また,発達障害と摂食障害に共通する特徴があるという報告は増えている一方で,その他の併存症の影響に留意した研究は少ない。実際の臨床においては,これらの先行研究の課題に注意して,評価・診断や治療を行っていく必要がある。そして,これらの先行研究の課題を解決する新たな研究が求められている。

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© 2023 日本摂食障害学会
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