2024 年 4 巻 1 号 p. 62-67
摂食障害の発症に関わる要因として,ダイエットとその背景にあるやせ礼賛の社会文化の問題は広く知られており,やせ礼賛の価値観に影響を与えているのが,メディアに露出するファッションモデルである。欧米各国では,2006年以降ファッションモデルの摂食障害による急死報道が相次いだ結果,法律やファッション団体の自主対応として痩せすぎモデルが規制されている。イタリアやイスラエルではBMI 18.5,スペインではBMI 18.0未満はファッションショーに出演できなくなり,フランスでも法規制が2017年より施行されている。痩せすぎモデル規制の有効性についての明確なデータはないが,ファッション業界の対応やプラスサイズモデルの登場,ボディポジティブムーブメントなど,痩せ以外の体型の多様性を受け入れる社会への変化が少しずつ起こっていると考えられるが,日本での変化は乏しいのが現状である。