抄録
大阪近郊の複数の住宅街, 河川敷, 里山において, チョウのトランセクト調査を行い, チョウ類群集と環境の関連を検討した. 環境の階級存在比において都市段階と判定された調査地に共通して目撃されたのは, ヤマトシジミ, モンシロチョウ, アオスジアゲハ, ナミアゲハ, ツマグロヒョウモン, キチョウ, イチモンジセセリの7種だった. これらの7種の中で, アオスジアゲハ, ナミアゲハ, ツマグロヒョウモンの3種は, 都市における分布度が高いことから, 都市環境に特異的に適応した種と判断した. 次に, これら3種のチョウの分布をもとに, 都市および都市近郊の環境を分類する方法を提案した. この方法は, 農村から都市にいたる環境を細かく分類できるため, チョウ類群集による都市環境評価においても有用と考える.