教育心理学研究
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原著
学校における教育相談活動の定着に影響を及ぼす諸要因の相互関連性に関する実証的研究
西山 久子淵上 克義迫田 裕子
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2009 年 57 巻 1 号 p. 99-110

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抄録

 教育相談は, 学校が児童生徒の支援をするための重要な方法論とされており, 実践活動の内容やあり方, 学校組織といった様々な側面から研究されてきた。しかし, 学校において全ての児童生徒の心理社会面・学習面・進路面の援助サービスを網羅するべき教育相談活動のなかで, それぞれは個々に検討されてきたものの, 包括的な検討はされてこなかった。そこで本研究では, 教育相談活動の定着に影響を及ぼすと思われる諸要因を探索的に調査検討し, それらの相互関連性を検証した。その結果, 教育相談の定着と関連する要因は, 教育相談担当者の個人的な力量・その学校の教育相談システム・その学校の職場における協働的風土・その学校の職場における同調的風土・校長の変革的リーダーシップおよび配慮的リーダーシップの6要因に整理された。そして教育相談活動の定着に対して, 教育相談システムと職場の協働的風土とが直接的にポジティブに関連することが明らかになった。さらに校長の変革的および配慮的なリーダーシップが, それぞれ教育相談の定着に間接的に関連することも示唆された。

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© 2009 日本教育心理学会
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