教育心理学研究
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原著
小学生から大学生における学習動機づけの構造的変化
—動機づけ概念間の関連性についてのメタ分析—
岡田 涼
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2010 年 58 巻 4 号 p. 414-425

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抄録

 自己決定理論では, 学習に対する動機づけを自律性—統制の次元から捉え, 外的調整, 取り入れ的調整, 同一化的調整, 内発的動機づけという複数の動機づけ概念を想定している。本研究では, 自己決定理論にもとづく動機づけ概念間の関連性についての学校段階による差を検討するために, メタ分析的な手法を用いて研究知見を統合した。文献検索の結果, 27論文から35研究を収集した。学校段階として, 小学生, 中学生, 高校生, 大学生の4グループ間での比較を行った。学校段階ごとに, 2,000名から8,000名を対象に, 動機づけ概念間の母相関係数を算出した。その後, 得られた母相関係数行列に対して因子分析を行った。その結果, 動機づけ概念間の母相関係数は, 学校段階によって異なっており, 小学生と大学生においては, 統制的な動機づけ(外的調整, 取り入れ的調整)と自律的な動機づけ(同一化的調整, 内発的動機づけ)が比較的独立している一方で, 中学生と高校生においては, すべての動機づけ概念間に正の関連がみられた。動機づけ概念間の関連性の違いを考慮した働きかけの重要性について論じた。

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© 2010 日本教育心理学会
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