教育心理学研究
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原著
日本人幼児における英語構成音素の知覚と発声
湯澤 正通関口 道彦李 思嫻湯澤 美紀
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キーワード: 英語, 音韻, 発声, 幼児, 単語反復
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2011 年 59 巻 4 号 p. 441-449

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抄録

 日本語母語話者にとって, 日本語にない英語の音韻の差異(例えば, /r/と/l/)に気づくことは難しい。本研究では, 日本人幼児における英語の構成音素の知覚・発声能力を調べ, それと英単語の反復の難しさとの関連を検討した。研究1では, 英語の音声を構成する主要な音素を, CV音韻構造, または, 同一の音素の順序を変えたVC音韻構造で幼児(3, 4歳児35名, 5, 6歳児29名)に聴覚提示し, 反復再生させた。その結果, /vI/, /ðI/, /zI/, /lI/の刺激に含まれる頭子音の反復が難しかったが, 少なくとも2割程度の子どもが, 正しく反復することができた。また, CV音韻構造よりも, VC音韻構造が難しかった。研究2では, CV音韻構造での各音素の正反応率(研究1)を用いて, 1音節英単語反復の正反応率(5, 6歳児15名の成績)を予測した。その結果, 1音節英単語反復の正反応率のばらつきが18%説明されることが分かった。英語の構成音素を知覚・発声することの難しさは, 日本人幼児が英単語の音声を聞き取り, 発声することの難しさの一部であることが示唆された。

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© 2011 日本教育心理学会
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