教育心理学研究
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原著
小学校における発達障害児童の保護者と担任教師の協働を支えるスクールカウンセラーのアプローチ
—グラウンデッド・セオリー・アプローチによる仮説モデルの生成—
平田 祐太朗
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2015 年 63 巻 1 号 p. 48-62

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抄録

 本研究は, 発達障害児童の保護者・教員間の協働を支えるスクールカウンセラー(以下, SCと略記)のアプローチについて明らかにすることを目的として行われた。17名のSCへ半構造化面接を行い, その中から得られた30の事例に関するインタビューデータを, グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。分析のステップは大きく4つに分かれ, その結果, 5つの仮説的知見とモデルを生成した。これらの仮説的知見・モデルに考察を加えたところ, SCのアプローチは多面的な見立てに基づく, 保護者・担任双方への関わりを通して,保護者と担任教師のつなぎを行い子どもの成長を一緒に考えることを目指していた。さらにその関わりは保護者・担任それぞれに対する関わりだけではなくそれらが相互に影響し合う包括的な関わりであった。また保護者への関わりは『保護者のニーズの汲み上げ』『保護者の後押し』『保護者の揺れへの寄り添い』の3つ, 担任への関わりは『担任のバックアップ』『他機関利用に関する担任への助言』の2つで構成されていた。保護者・担任間のつなぎはコミュニケーション, 子ども理解, 両者の想いの3つに整理された。また本研究の課題としてSCの語りから得られた限定的なモデルであるという点, さらに一般化の問題が挙げられた。

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© 2015 日本教育心理学会
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