教育心理学研究
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原著
学業場面に対する失敗観尺度の作成
西村 多久磨瀬尾 美紀子植阪 友理マナロ エマニュエル田中 瑛津子市川 伸一
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2017 年 65 巻 2 号 p. 197-210

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抄録

 本研究では, 中学生を対象に学業場面に対する失敗観の個人差を測定する尺度を作成した。その際, 子どもにとって身近で回答しやすい失敗場面を想定し(問題場面, 発表場面, テスト場面, 入試場面), これらの場面の高次因子として「学業場面の失敗観」を想定するモデルを提案した。中学生984名から得られたデータに対して探索的因子分析を行った結果, 失敗観は「失敗に対する活用可能性の認知」と「失敗に対する脅威性の認知」の2因子から構成されることが, 各場面に共通して示された。また, これら4つの場面の高次因子として「学業場面の失敗観」を想定したモデルの適合度は十分な値であった。この結果から, 高次因子モデルによって失敗観を測定するアプローチの妥当性が支持された。さらに, 理論的に関連が予想された変数との相関関係も確認され, 尺度の妥当性に関する複数の証拠が提出された。最後に, 作成された尺度を用いた今後の研究の展望について議論がなされた。

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© 2017 日本教育心理学会
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