教育心理学研究
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原著
項目反応理論における均一DIF検討のためのベイズモデリング
―群間で困難度が異なる確率と正答確率が異なる確率―
秋山 隆豊田 秀樹
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2020 年 68 巻 3 号 p. 250-265

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抄録

 テストデータを対象として,受験者の潜在的な特性と項目特性を分離して分析するためのテスト理論に項目反応理論(IRT)がある。通常,IRTでは受験者が所属する下位集団に拘らず,同じ特性に関する値を有していれば,同一項目に正答する確率も同じである仮定される。もし,性別や人種といった属性別で,同一項目に対する正答確率が変化する場合,当該項目は特異項目機能(DIF)を有するといわれる。測定の公平性の観点からDIFは望ましくないため,DIFの分析は大きな関心を寄せられてきた。IRTに基づいたDIFの検討において,広く用いられてきたDIF検出法は統計的仮説検定に基づいている。本研究では,ラッシュモデルにおける均一DIFを対象として,ベイズモデリングに基づいたDIF検討方法を提案する。提案手法を用いることで,下位集団ごとに項目母数を別々に推定し,更に等化係数を推定するという手順を一括して扱うことができる。また,DIFの大きさとそれに対する確信度を考慮可能な指標の提案も行う。

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© 2020 日本教育心理学会
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