教育心理学研究
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原著
母親のゲートキーピング尺度日本語版の作成と信頼性・妥当性の検討
金子 楓濱口 佳和
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2020 年 68 巻 4 号 p. 339-350

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抄録

 本研究の目的は,“Parental Gatekeeping Scale” (Puhlman & Pasley, 2017) の日本語版を作成し,因子構造,信頼性,妥当性を検討することであった。調査対象者は,茨城県内の幼稚園,保育所,こども園へ通う子どもをもつ母親685名で,313名の母親から回答を回収した。探索的因子分析の結果,母親のゲートキーピング尺度日本語版は,コントロール,抑制,促進の3因子18項目から構成された。また,母親のゲートキーピング尺度の各下位尺度のα係数の値は,.74―.86であり,一定の内的一貫性が示された。妥当性については,「夫婦関係満足度」,「育児への関心」,「子どもとの遊びや世話」,「子どもからの働きかけ・態度」の変数を用いて検討を行った。その結果,「促進」は全ての尺度と正の関連,「抑制」は全ての尺度と負の関連,「コントロール」は「子どもとの遊びや世話」および「子どもからの働きかけ・態度」と正の関連を示した。この結果は概ね予測と一致しており,母親のゲートキーピング尺度日本語版の妥当性が確認された。

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© 2020 日本教育心理学会
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