項目反応モデルの多くはカテゴリカルな観測変数を対象とするものだが,中には反応時間や回答への確信度といった連続量の観測変数を対象としたモデルも提案されている。本研究では連続した観測変数をベータ分布でモデリングしたNoel & Dauvier (2007) のモデルを拡張し,新たな項目反応モデルを提案する。本研究では,先行研究では示されていなかった,EM法による周辺最尤推定法による項目パラメタ推定方法の定式化と,推定の標準誤差の解析的な導出をおこない,パラメタの等化可能性について議論する。シミュレーションにより,提案手法の真値とのRMSEは0.1程度で推定されることと,EM法による推定が項目数が少ない条件下であっても安定していることが分かった。本来は連続変数として想定されてはいないものの観測カテゴリ数の多い実データに提案手法を適用したところ,比較的小さな標準誤差の推定値が得られることと,能力推定値は段階反応モデルで推定した結果と高く相関していることを示した。