2024 年 72 巻 1 号 p. 57-68
本研究は,スクールカウンセラーが特別支援教育の実践において,小学校1年生の担任へコンサルテーションの一部として実施した,児童のWISC-IVの結果の協働的フィードバックを通した支援のプロセスを明らかにするとともに,担任教員への支援効果について探索的に検討することを目的とした。担任へ協働的フィードバックを実施した後,半構造化インタビューを行い,その結果をSCATで分析した。結果として「検査の導入」「検査実施とフィードバック」から「フィードバック後の介入と支援への活用」までの時系列に従ってスクールカウンセラーの協働的フィードバックを用いたコンサルテーションの過程と,支援が円滑に進んだストーリーラインが示された。その過程から,教育現場におけるWISC-IVの協働的フィードバックを通した担任教員本人への直接的な支援効果だけでなく,担任を中心に,本人や保護者,クラスメイト,特別支援学級担任へも波及的に好循環が起こる潤滑油的機能がみられた。