教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
幼児の「ジャンケン」行動の生起におよぼす代理強化と直接強化の効果
牛山 聡子
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 21 巻 2 号 p. 79-89

詳細
抄録
「ジャンケン」は乱率部分強化の特性をもっている。本研究の目的は, そのことが幼児の「ジャンケン」行動の生起を促し, 「ジャンケン」模倣を生じ易くさせ, その後の「ジャンケン」行動もを維持させることを検証することである。また, 代理強化の効果は直接強化によって影響されることを検証する。
モデリング刺激としては, 6つのビスケットを「ジャンケン」して勝った方が食べるという内容の映画が使われた。交互条件では, 女のおとなと子どもが「ジャンヶン」の結果, 3つずっビスケットを食べる6子ども勝利条件では子どもが全部食べる。映画は群別, 性別にまとめてみせる。実験は, 映画-自発的遂行測定-(1- 2日後) 映画-自発的遂行測定-(10日過ぎに)-自発的遂行測定の順で行なった。自発的遂行測定では, 被験児 (5才6か月~6才6か月) は2人1組にされ, まず 1つの玩具で遊ぶ。その後, お礼として出された「ビスケット」を食べる。被験児の行動は観察室から観察される。1
1回目の自発的遂行測定後の質問に対し, 両条件のほとんどの被験児がモデルの「ジャンケン」行動に言及し, 子ども勝利条件の被験児の半分以上 (男女同数) が, 子どもが全部ビスケットを食べたことに言及した。2つのモデリング刺激は男児と女児に異なる効果を及ぼした。子ども勝利条件の女児に比し, 交互条件の女児のより多くが, 明確な「ジャンケン」模倣を示した。男児では最後の1個のビスケットでのみ「ジャンケン」をする傾向があり, 2つの条件の比較をほとんど無意味にした。「ジャンケン」の遂行を促し, 維持するのは「ジャンケン」そのもののもつ部分強化の特性によるという仮説は検証された。また, 代理強化の効果は直接強化によって影響され易いことが示された。
著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top