教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
知的能力の時代差
佐野 竹彦
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 22 巻 2 号 p. 110-114

詳細
抄録

小学校4, 5年生を対象に京大NX 9-15知能検査を 1954年, 1963年, 1972年の3時期に実施することによって知的能力の時代差が検討された。その結果, 知能偏差値の平均は1954年を基準にした時, 1972年には4, 5年生ともに約11上昇していることが明らかになった。18年間を2分割すると, 知能偏差値, 解答の速さ, 正確さともに前半の9年間の方が後半の9年間よりも変化が大きかった。下位検査の中では文章完成, 四則計算の上昇が大きく, 図形分割, 乱文構成, 数字三角, 符号交換の上昇が小さい。上昇の程度は教育内容の変化, 学校で実施されるテストとの類似度に依存していることが示唆された。さらに時代差の大小と地域差の大小とはほぼ対応しており, 時代差の大きい下位検査は地域差も大きいことがわかった。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top