教育心理学研究
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学級担任教師のPM式指導類型が学級意識及び学級雰囲気に及ぼす効果
数量化理論第II類による検討
佐藤 静一篠原 弘章
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1976 年 24 巻 4 号 p. 235-246

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抄録
本研究は, 数量化理論第II類を適用して, 予測要因としての担任教師のP機能 (3カテゴリー), M機能 (4 カテゴリー) の2要因が, 外的基準変数としての学級雰囲気, 学級意識それぞれ高, 低2群に与えている潜在的影響度をカテゴリースコアによって検討すると同時に, 得られた両機能のカテゴリースコアを結合することによって, いわゆる教師のPM式指導類型 (3カテゴリー× 4カテゴリーの12類型) が, 学級雰囲気や学級意識に及ぼす影響度について検討することである。
調査対象は, I小学校6年生6学級238名及びF小学校4, 5, 6年生各3学級380名である。調査項目は予測要因としての学級担任教師のP, M両機能と, 外的基準変数としての学級意識及び学級雰囲気である。調査方法は学級を単位とする集合調査法である。数量化理論第II類の適用は, I小学校, F小学校別々に行った。
主な結果 (相関比及び的中率) は次の通りである。
学級意識総合点 (I小, 相関比. 484, 的中率69.2%; F小, 相関比. 338, 的中率61。6%), 学級集団への誇り (I小. 360, 66.7%; F小. 470, 62.8%), 学級集団凝集性 (I小. 313, 65.8%; F小. 299, 60.3%), 参加的雰囲気の因子 (I小. 377, 65.8%; F小. 340, 63.5%), 親和的雰囲気の因子 (1小. 296, 64.1%; F小. 191, 56.1%), 男女融和とおとなしさの因子 (1小. 151, 55.3 %), 男女融和の因子 (F小. 184, 56.9%), おとなしさの因子 (F小. 175, 56.1%)。
さらにP, M両機能のカテゴリースコアのレンジから, 各外的基準要因の高・低2群を判別する予測力の高さでは, いずれもM機能要因がP機能要因に比べて高い結果 (2倍から18倍の効き方) を示している。このようにM機能要因の規定力が強いことは否めないが, 一方, P, M両カテゴリーのカテゴリースコアを合計して得られる12個の指導類型の判別スコアからさらに次のことが示唆される。即ち, 強度の強いMカテゴリーに, さらに強度の強いPカテゴリーが結合するとき, その指導類型の学級雰囲気や学級意識に及ぼす潜在的影響力は一層大きくなるといえる。
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© 日本教育心理学会
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