教育心理学研究
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弁別移行学習における実験教育の効果について
柴田 幸一
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1978 年 26 巻 2 号 p. 94-103

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抄録

本研究の目的は, 1) 弁別移行学習の分野へ実験教育を導入して, 正刺激の値名をいかにして見つけ出すかという解決ストラテジーについての行為を幼児に教え, 同時に, 2) Гальпеpинらの“知的行為の多段階形成説”の第2段階や第3段階の意義を, この分野において検討することであった。
被験児は, 4~6歳児104名。2×2×4の要因配置言語による認識能力の2水準 (上位・下位), RSと NRSの移行型, 教授法I~III と統制群IV-が用いられた。事前テストにおける次元間比較課題の成績で被験児を2水準に分け, その後1週間を経て, 2次元2値による弁別移行学習を行った。実験教育は, 先行, 移行の両学習の間に実施された。その1か月後, フォローアップ・テスト (把持テストと転移テスト) が行われた (FIG. 2参照)。
主な結果は次の通りであった。1) 教授法IとIIは, 上位. 下位の両群に対して有意に効果があった。2) 教授法IIIは, 上位群には有意に効果があったが下位群にはなかった。3) 教授法1は, 持続性と転移可能性という点でも効果があった。4) 教授法IIは, 転移可能性の点で有意な効果はなかったが, 持続性という点では効果がないとは必ずしも言えなかった。

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© 日本教育心理学会
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