教育心理学研究
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児童の道徳的判断に関する一研究
Gutkinの4段階説の実験的検討
二宮 克美
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1980 年 28 巻 1 号 p. 18-27

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抄録

本研究は, 児童の道徳的判断におけるGutkinの4段階説の順序性を実験的に検討する目的でなされた。実験 1では, Gutkin (1972) の研究の追試を行い, 主観的判断の出現率が6つの例話型によって異なっており, B, AおよびE型の例話がGuttman尺度を構成し4つの段階を示唆するという結果が得られた。実験IIでは, これらの諸段階と意図の認知の要因の関連が検討され, 段階 1の者は段階2, 3, 4の者に比べ意図の認知レベルが低いという結果が得られた。実験IIIでは, 4段階の順序性がモデリングにより実験的に変化を起こして検討され, 1段階上の判断を示された者の方が2段階上の判断を示された者より変化の度合いが大きく, 2段階上へという急激な変化は起こりにくいという結果が得られた。これらの結果は, 児童の道徳的判断にGutkinの提起した4 段階が存在し, それらが発達的な順序性をなしているという1つの証拠と考えられる。

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© 日本教育心理学会
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