教育心理学研究
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児童画の集団製作に関する研究
協同性の発達と集団雰囲気との関係
川口 勇
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1969 年 3 巻 4 号 p. 26-32,57

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抄録

教育実践場面及び実験的に設定された場面で, 数名ずつの児童による小集団の集団画協同製作過程の観察と作品形体との関係についての現象的観察から, 次のような見当づけが得られた。このような観察実験の範囲では,(1) 協同性が発達・学習的にその形成期に入るのは, 小学1年の終りから小学2年の前半にかけてであると思える。(2) そして, それの略々完成されるのが小学2年の後期に入つてからだと考えられる-ギャング・エイジがこれに続く-。(3) しかも. この小学1年の終りから小学2年の前半 (10~11月頃まで) にかけては, 可成り長いいわば協同性の不安定な形成期であり, この時期においては, 未だ推測の程度を出ないが, 集団雰囲気と作品の形体 (類型) との間に可成り明瞭な一義的な対応が見られ, 集団雰囲気の変容による作品形体の変容が見られるのであろうことが見当づけられた。(4) しかし, 集団雰囲気と作品形体との間のこのような対応関係は, 小学2年の後半に入つてからの, いわば協同性の安定した完成期に入つてからは, 殆んどみることが出来ない。

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© 日本教育心理学会
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