教育心理学研究
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幼児の物語理解を促進する効果的自己言語化の喚起
田中 敏
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1983 年 31 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

本研究の目的は, 幼児の物語理解を促進するような自己言語化を喚起することであった。これに先立ち, 特定の言語化様式の機能を, 特定の言語処理レベルに限定してしまうような先行研究の理論的枠組を批判して, その実験結果を疑問視した。実験Iは, 必ずしも従来の仮説通り外言化が音韻的レベルに, 内言化が意味的レベルに限定されないことを示した。そこで, 実験IIでは, 新たに幼児の側の活動意図と発達特性を考慮する観点に立って, 幼児の物語理解の意図と調和し, しかも言語発達的にも妥当するようなツブヤキという言語化様式を導入した。その結果, ツブヤキは幼児による物語の因果関係の把握を, 他の言語化様式 (外言化・内言化) 以上に促進した。

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