教育心理学研究
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幼児の自己制御認知タイプと向社会的行動との関連
伊藤 順子丸山 愛子山崎 晃
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1999 年 47 巻 2 号 p. 160-169

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抄録

本研究では, 幼児の自己制御認知と向社会的行動との関係を検討した。5歳児男児17名, 女児16名を被験者とし, 自己主張および自己抑制認知評定, 向社会的行動観察を行った。自己制御認知は, 自己主張および自己抑制側面からとらえ, 幼児自身に評定させた。また, 向社会的行動は, 2人以上で行われている仲間との遊び場面を観察し, 自主性 (自発・依頼) の観点から分類した。その結果, 自己主張的側面および自己抑制的側面の認知のバランスにより, 幼児の自己制御認知タイプを, 両高型・主張型・抑制型・両低型の4つに分類できることが示された。さらに, 自己主張も自己抑制もすると認知している (両高型) 幼児は, 自発的向社会的行動を多く行っていること, 自己主張するが自己抑制しないと認知している (主張型) 幼児は, 仲間から援助を依頼される回数が少ないことが明らかにされた。これらの結果より, 幼児の自己制御認知タイプに個人差が見られること, 自己制御認知タイプの個人差が向社会的行動に影響を及ぼしていることが示唆された。

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© 日本教育心理学会
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