教育心理学研究
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現代大学生の認知された友人関係と自己意識の関連について
岡田 努
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1999 年 47 巻 4 号 p. 432-439

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抄録

現代の青年に特有の友人関係, 自己意識, 現代青年の特質に関する項目について, 大学生に対する調査を行った。友人関係の尺度に関しては, 以下の3つの示標が用いられた。1)青年自身が現在取っていると考える関わり方 (現実自己評定), 2) 理想として取りたい関わり方 (理想自己評定), 3) 自分の友人が取っているであろう関わり方 (友人評定) である。また, 他の尺度については, 現実自己評定と友人評定が用いられた。その結果, 友人関係尺度の「表面的・内面的関係」及び「群れ」下位尺度において理想自己評定が現実自己及び友人評定よりも高かった。また「表面的・内面的関係」下位尺度では, 自己意識上位群では, 現実自己評定と理想自己評定の間にのみ相関関係が見られ, 自己意識下位群では, 現実自己評定と友人評定の間にも相関が見られた。また自己意識に関しては, 自分自身よりも友人の方が低く, 現代青年の特質に関する項目では「積極性」「親依存性」の下位尺度に関して, 現実自己評定の方が低い得点を示していた。この結果から, 青年自身は, 現代の青年に特有とされる特質については, 自分自身よりも友人によりあてはまると認知していることが見出された。

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© 日本教育心理学会
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