教育心理学研究
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被援助志向性, 被援助行動に関する研究の動向
水野 治久石隈 利紀
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1999 年 47 巻 4 号 p. 530-539

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抄録

我が国においてカウンセリングが専門的サービスとして認められつつあるが, 援助を受ける側からの被援助志向性や被援助行動に関する研究はほとんど実施されていない。一方で, 米国ではこの領域に関する研究は20年ほど前から行われている。米国における被援助志向性および被援助行動の研究を分類した結果, 1) デモグラフィック要因との関連, 2) ネットワーク変数との関連, 3) パーソナリティ変数との関連, 4) 個人が抱えている問題の深刻さ, 症状との関連の4領域に集約された。研究の課題として, 1) 他の研究を踏まえた上での援助志向性, 被援助行動の定義の必要性, 2) 被援助志向性が低い人に対する介入や被援助志向性が低い人のための援助システムの構築へ結びつく研究の必要性があげられる。このような研究を通して, 我が国の専門・職業的心理学の構築の必要性が示唆された。

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© 日本教育心理学会
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