教育心理学研究
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対処スタイルと日常生活および職務上のストレス対処方略の関係
現職教員による日常ストレスと学校ストレスへの対処からの検討
若林 明雄
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2000 年 48 巻 2 号 p. 128-137

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抄録

本研究では, ストレスへの対処スタイルと対処方略選択の関係について, 現職教員を対象として検討を行った。研究1では, 288名の現職教員に対し, Marlowe-Crowneの社会的望ましさの尺度とMASを実施し, その結果から4つの対処スタイルに該当する被験者, Repressor24名, Sensitizer 24名, Lowanxious 14名, Defensive-anxious 12名を抽出した上で, この74名に対して日常生活でのストレス状況における対処方略選択を調べるTAC-24を実施した。その結果, 対処スタイルによって日常生活でのストレスに対する対処方略選択にはある程度の違いが認められた。特に, Repressorが問題解決に向けて積極的な対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは責任転嫁や放棄・諦めのような消極的な対処方略を選択する傾向があるというように, 対照的な傾向を示した。研究IIでは, 研究1で抽出された74名の被験者に対して, 学校での職務上のストレス状況を5つ設定し, それぞれの場面での対処方略選択について回答を求めた。その結果, 5つの場面を通じてみると, Repressorが計画, 情報収集, 努力などの積極的対処方略を選択する傾向があるのに対して, Sensitizerは, 思考回避や諦め, 正当化などの消極的対処方略を選択する傾向が認められた。また, 5つの場面ごとの対処方略選択の傾向を調べた結果, 場面によって対処方略選択に4つの対処スタイル間で違いがあることが認められた。

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© 日本教育心理学会
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