教育心理学研究
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青年期における同一性の感覚の構造
多次元自我同一性尺度 (MEIS) の作成
谷 冬彦
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2001 年 49 巻 3 号 p. 265-273

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抄録

本研究の目的は, Erikson理論に基づいて, 第V段階における同一性の感覚を測定する多次元自我同一性尺度 (MEIS) を新たに作成し, 青年期における同一性の感覚の構造を検討することである。Eriksonの記述に基づき,「自己斉一性・連続性」「対自的同一性」「対他的同一性」「心理社会的同一性」の4つの下位概念が設定された。20項目からなるMEISを大学生390名 (18-22歳) に施行し, 因子分析を行ったところ, 4つの下位概念に完全に対応する4因子が得られた。α係数, 再検査信頼性係数, 2時点での因子分析における因子負荷量の一致性係数などの結果から, 高い信頼性が確認された。また, EPSIとの関連から併存的妥当性が確認され, 自尊心尺度, 充実感尺度, 基本的信頼感尺度との関連から構成概念的妥当性 (収束的・弁別的妥当性) が確認された。また, 年齢が高くなるほどMEIS得点が高くなるという結果から, 発達的観点からの構成概念的妥当性も確認された。このように信頼性・妥当性の高い多次元自我同一性尺度 (MEIS) が作成され, 青年期における同一性の感覚は4次元からなる構造であることが示唆された。

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© 日本教育心理学会
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