教育心理学研究
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英語リスニング・テストにおける音声の時間構造と提示情報の様式が項目特性に与える影響
内田 照久菊地 賢一中畝 菜穂子前川 眞一石塚 智一
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2002 年 50 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

大学生652名に英語リスニング・テストを実施した。テスト内に3つの実験ブロックを設定し, 発話速度, 休止時間, 選択肢様式について操作した。原問題を加工した実験項目を8つのテスト・フォームに割り当て, フォーム間の比較のためにアンカー項目も配置した。分析には古典的テスト理論と項目反応理論 (IRT) の項目特性指標を使用した。結果として,(1) 発話速度の低下に伴い困難度 (b) は低下し, 音声持続時間を80%~140%変化させたところ, 項目通過率の平均が約7%上昇した。(2) 選択肢様式については, 文字提示の方が音声提示より困難度 (b) が低く, 平均通過率が約12%高かった。すなわち, リスニング・テスト状況下でも被験者は文字情報に依存的であった。(3) 選択肢様式の条件差で生じた被験者群間の正答率の平均差は, 能力推定値 (θ) では解消し, IRTによる等化は良好な補正機能を示した。この長所を生かし, 被験者への成績情報のフィード・バックも可能にするためのIRTと実験計画法を組み合せた新しい研究方法を提案した。

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