教育心理学研究
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理科と数学の関連づけ方の異なる授業が中学生の学習に及ぼす効果
湯澤 正通山本 泰昌
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キーワード: 理科教育, 数学, 中学生, 酸化
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2002 年 50 巻 3 号 p. 377-387

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抄録

本研究では, 理科と数学の関連づけの仕方を変えた授業が, 生徒の学習にどのように影響するかを調べた。公立中学校の2年生が金属の酸化に関して定比例の法則 (化合する物質の質量比は一定である) を2種類の授業方法で学習した。実験群の生徒は, 最初に, 定比例の法則を原子モデルから演繹した後, 数学で学習した比例の知識を用いて, 酸化前後の金属の質量比を求める課題を2回行った。その際, 理科と数学の教師がチームで指導に当たった。他方, 統制群の生徒は, マグネシウムの酸化の実験を行い, そこから, 定比例の法則を帰納した。また, 酸化前後の金属の質量比を求める課題を1回行い, すべて理科の教師から指導を受けた。その結果, 成績高群の場合, 実験群の生徒は, 統制群の生徒よりも, 授業後のテストで, 数学の関数の知識を用いて, 酸化前後の金属の質量関係を予測し, 計算する得点が高かった。また, 実験群の生徒は, 統制群の生徒よりも, 誤差のある測定値を適切に理解することができた。

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© 日本教育心理学会
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