教育心理学研究
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部活動への適応感に対する部員の対人行動と主将のリーダーシップの関係
吉村 斉
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2005 年 53 巻 2 号 p. 151-161

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抄録

本研究は, 対人行動の特性として, 特定の友達同士で形成された小集団を優先し, 他の小集団のメンバーに対して閉鎖的になる態度 (以下「小集団閉鎖性」と略記) に注目し, 部活動への適応感に対する小集団閉鎖性と主将のリーダーシップの関係を検討した。調査対象者は304名の中学運動部員1年生で, 質問紙法によって調査が実施された。まず, 予め分類された主将のリーダーシップの中から, 競技に関する技術や集団の人間関係の調整, 部の規則などを熱心かつ厳しく指導する圧力H-積極的指導群, 熱心に指導するが厳しくない圧力L-積極的指導群が抽出された。この2群による部活動への適応感の違いと小集団閉鎖性の関係を検討すると, 小集団閉鎖性が強い部員において, 圧力H-積極的指導群が圧力L-積極的指導群より, 部活動への積極的行動得点が高かった。このことは, 部の雰囲気への満足においても認められた。つまり, 主将から熱心かつ厳しく指導されることによって, 部員の意識が小集団から練習課題に向けられ, 積極的に取り組むようになること, その際に他の部員と一緒に達成感を味わうことによって部員との関係も良好になっていくためであることが考えられた。

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