教育心理学研究
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組織キャンプ体験に伴うメンタルヘルス変容の因果モデル
エンジョイメントを媒介とした検討
西田 順一橋本 公雄柳 敏晴馬場 亜紗子
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2005 年 53 巻 2 号 p. 196-208

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抄録

本研究では, 組織キャンプの体験はエンジョイメントを介してメンタルヘルス変容に影響するという, 因果モデルを提案した。本研究の主要な目的は, この因果関係を検証することであった。すなわち, 組織キャンプの体験に伴うエンジョイメントはメンタルヘルス変容を媒介するかどうかについて検証した。対象者は, 夏の1週間から10日間までの組織キャンプ・プログラムに参加した児童202名であった。組織キャンプの前に, デモグラフィックの調査票およびメンタルヘルス測定のため児童用精神的健康パターン診断検査 (MHPC: 事前検査) を実施した。また, 組織キャンプ直後にMHPC (事後検査), 児童用組織キャンプ体験評価尺度 (IOCE-C), そして児童用組織キャンプ・エンジョイメント尺度 (COCES) に回答した。構造方程式モデリングを用いた分析の結果, おおよそ提案したモデルの許容できる適合が示された。組織キャンプ体験からメンタルヘルス変容への直接のパスは有意ではなかった。加えて, エンジョイメントを介したメンタルヘルス変容における間接パスは、直接パスに比べ大きかった。最後に, 理論的, 応用的示唆が議論された。

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© 日本教育心理学会
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