教育心理学研究
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中学校におけるストレスチェックリストの活用と効果の検討
不登校の予防といった視点から
三浦 正江
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2006 年 54 巻 1 号 p. 124-134

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抄録

本研究の目的は, 中学校において不登校傾向や心理的ストレスに関するチェックリストを実施することによって, 不登校を予防する可能性について検討することであった。まず, 公立中学校1~3年生生徒 (3クラス計109名) を対象に, 不登校感情, ストレス反応, 学校ストレッサー, ソーシャルサポートに関する尺度を実施した。次に, このデータに基づいて, 不登校感情の得点の高い生徒26名を抽出し, 心理の専門家との協働で担任教師がこれらの生徒における心理的ストレス状態の理解と日常の学校生活における働きかけを実施した。その結果, 働きかけを行った後では, 不登校感情, 抑うつ・不安, 無気力反応, および教師関係ストレッサーの得点は有意に低下し, 友人サポート得点は有意に上昇した。また, 担任教師を対象とした事後調査では, 一連のアプローチは, 日常の学校現場で容易に実施でき, かつ効果的な方法だと評価された。最後に, 中学校におけるチェックリストの活用の利点と不登校予防の可能性, および今後の課題が議論された。

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© 日本教育心理学会
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