教育心理学研究
Online ISSN : 2186-3075
Print ISSN : 0021-5015
ISSN-L : 0021-5015
児童青年に対する抑うつ予防プログラム
現状と課題
石川 信一戸ヶ崎 泰子佐藤 正二佐藤 容子
著者情報
キーワード: 予防, 抑うつ, 児童, 青年
ジャーナル フリー

2006 年 54 巻 4 号 p. 572-584

詳細
抄録

本稿の目的は, 児童青年に対する抑うつ予防プログラムのレビューを行うことであった。初めに, 抑うつのリスクファクターには, 個人的要因, 社会的要因, 認知的要因, 家族の要因, 外的な出来事要因があることが示された。このリスクファクターを軽減するための予防的介入要素は以下の4つに分類できることが分かった。(1) 環境調整,(2) 社会的スキルの獲得,(3) 問題解決能力の向上,(4) 認知への介入である。次に, 予防研究をユニバーサルタイプとターゲットタイプ (indicatedとselectiveの予防プログラム) の2つに分類した。先行研究の多くは, ターゲットタイプのプログラムは抑うつの予防に効果があることを示している。一方, ユニバーサルタイプの結果は一貫していない。特に, 長期的予防効果についての実証はあまりなされていない。最後に, 抑うつ予防研究における実践と研究における示唆について議論がなされた。

著者関連情報
© 日本教育心理学会
前の記事
feedback
Top