教育心理学研究
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幼児の非社会的遊びと社会的スキル・問題行動に関する縦断的検討
大内 晶子櫻井 茂男
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2008 年 56 巻 3 号 p. 376-388

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抄録

本研究の目的は, 2年保育の幼稚園における年少児 (4歳児) の非社会的遊び (沈黙行動ひとり静的行動ひとり動的行動) に注目し, その変化および社会的スキル・問題行動との関連を男女別に明らかにすることであった。そのため, 入園直後(Time 1) とその約半年後 (Time 2) に幼児の非社会的遊びの観察を行い, Time 1, Time 2, および卒園直前 (Time 3) に彼らの社会的スキル・問題行動について担任教師に評定を求めた。その結果, 沈黙行動がTime 1からTime 2にかけて減少することが示された。また, 社会的スキル・問題行動との関連において, 沈黙行動は, 男女共に主張スキルの低い子どもに見られた。ひとり静的行動は, Time 2にその行動が多く見られた場合, 女児は協調スキルが低く不注意・多動傾向にあること, 男児はTime 3における主張スキルの低さを予測することが明らかになった。ひとり動的行動は, 行動が見られた時点ではいずれの関連も有意でなかったが, 男児はTime 1のそれがその後の主張スキルの低さを, 女児はTime 2のそれがTime 3における外在化した問題行動を予測した。

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© 日本教育心理学会
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