教育心理学研究
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幼児の自己制御機能尺度の検討
社会的スキル・問題行動との関係を中心に
大内 晶子長尾 仁美櫻井 茂男
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2008 年 56 巻 3 号 p. 414-425

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抄録

本研究の目的は, 幼児の自己制御機能を, 自己主張, 自己抑制, 注意の移行, 注意の焦点化という4側面から捉え直し, 新たにその尺度を作成すること, また, 4つの側面のバランスと社会的スキル, 問題行動との関係を検討することであった。保育園と幼稚園に通う幼児452名の保護者に対し, 子どもの自己制御機能に関する項目に回答を求めた。そのうち保育園の幼児262名の社会的スキル, 問題行動について, 担任保育者から回答を得た。因子分析 (主因子法・プロマックス回転) の結果, 4下位尺度23項目からなる自己制御機能尺度が作成され, その信頼性と妥当性が確認された。次に, 4下位尺度の標準化得点を用いてクラスター分析を行った結果, 6つのクラスターが見出された。各クラスターの社会的スキル, 問題行動得点を比較した結果, 望ましい社会的スキルの獲得には自己制御機能の4つの側面が全て高い必要があること, 内在化した問題行動の出現には4つの側面が全て低いことが関係していること, 外在化した問題行動の出現には自己主張の高さと自己抑制および注意の制御の低さが関係していることが明らかになった。

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© 日本教育心理学会
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