教育心理学研究
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民族的好悪とその人格的要因
葛谷 隆正
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1969 年 8 巻 1 号 p. 8-17,65

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抄録
われわれは民族的好悪とその人格性要因に関する問題について男女232名に対して行なつた調査結果を考察してきたが, いまその主要な点を要約し列挙してみることとしよう。
(1) 大学生の民族的好悪の状態は5年前の調査結果と比較して0.874という高い相関があり, かなりの一致性がみられるが, 特にシナ人・インド人・朝鮮人に対しては一の方向に, オーストラリヤ人・スイス人・アメリカ人に対しては十の方向にかなりいちじるしい変化をきたしていた。
(2) 民族的好悪感と民族的優劣観とは0.760の相関を示し, 相当の一致性のあることがわかつた。しかし, ロシア人・ユダヤ人・シナ人・アメリカ人においては好悪感よりも優劣観においていちじるしく+であり, これに反し日本人・インド人・ビルマ人・フィリピン人・黒人に対してはいちじるしく一であることが注目された。
(3) 民族的好悪と人格性要因との関係については,(i) 外国びいきの性格の強もいのはそうでないものよりも優劣点・自己嫌悪点がより高く, 偏見点においてより低いという傾向が顕著にみられた。しかし偏見点が彼等においてより低いということは外国びいき自国ぎらいという人間的罪悪感から逃れるためのかれらのとる自己防衛手段の現われではないかと察せられる。
(ii) ・偏見的性格の強いものはそうでないものに比して優劣点がより低く自己嫌悪点がより高いという傾向が明瞭に看取された。
(iii) 自己嫌悪の強いものはそうでないものよりも優劣点も偏見点もより高いという傾向がはつきりうかがわれた。
(iv) したがつて, 外国びいきの性格の強いものも偏見的性格の強いものも基本的には同一の人格性力学をもつた2つの異なつた姿であると見られる。
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© 日本教育心理学会
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