教育心理学研究
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幼児の数観念の発達
野呂 正
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1961 年 9 巻 4 号 p. 230-239,252

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抄録

数唱, 実物の数規定, 提示事物と同一数の選択, 数の比較, 要求数の選択, 数の分割, 数の結合, 数の順序変更等の8つの領域に関して, 4, 5, 6才の幼児計112名を対象に実験を試みた。数観念の発達は, 量の観念および順序の観念という2つの観念の弁証法的な闘いの中で展開され, しかも同時に, 対象の知覚的印象からの脱却過程の中で, その闘いの様相が各発達段階を特徴づけていることが, われわれの実験結果から推察される。小学校入学当初までに, 6つの段階が区別された。
第1段階量的観念と順序的観念が完全にばらばらに存している時期。
第2段階量的観念と順序的観念との闘いの中で, 量的観念が支配的となる時期。
第3段階量的観念が一時後退し, 順序的観念が強くなる時期。
第4段階再び順序的観念が後退し, 量的観念が強くなる時期。
第5段階量的観念と順序的観念との統一が不安定な時期。
第6段量量的観念と順序的観念の統一が安定する時期。

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© 日本教育心理学会
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