てんかん研究
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症例報告
ウイルス感染が関与したと考えられる抗てんかん薬によるhypersensitivity syndromeの2例
中澤 友幸渡邉 響子金子 賢一郎高橋 寛高橋 系一
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2001 年 19 巻 1 号 p. 11-16

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抄録

抗てんかん薬による過敏反応(hypersensitivity syndrome)の出現にウイルス感染が関与したと考えられる2例を報告した。患児1は脳炎/脳症を合併したHHV-6ウイルス感染症の8カ月女児で、phenobartibal投与後21日目より発熱と発疹を呈し、検査上は、血球減少と骨髄での血球貪食像を認めた。患児2は複雑部分発作に対してcarbamazepine投与中、11日目よりtoxic epidermal necrolysisの所見を呈し、のちに麻疹感染の合併が確認された4歳男児。2例ともに原因と考えられた薬剤の中止のみでは軽快せず、ガンマグロブリン製剤の投与は無効であったが、ステロイド剤の全身投与が有効であった。hypersensitivity syndromeの発症機序として高サイトカイン血症や免疫活性を有する薬物代謝産物の関与が想定されているが、ウイルス感染を伴うことによりこれらの反応が助長される可能性が示唆される。抗てんかん薬治療の副作用として、本症の存在を念頭におくことが重要である。

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© 2001 日本てんかん学会
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