2001 年 19 巻 1 号 p. 3-10
頭皮·頭蓋·脳実質のそれぞれの導電率を1:1/80:1とした3層頭部モデルを用いた双極子追跡法により側頭葉てんかん(TLE)患者の棘波から等価電流双極子(ECD)を推定し、硬膜下電極記録により同定したてんかん発作焦点部位と比較検討した。対象は発作抑制が困難な難治TLEの5例。年齢は17歳から67歳、平均43歳。男性3例、女性2例。3例は内側TLEで2例は外側TLEであった。ECDの集中する部位と硬膜下電極記録による発作焦点の中心部位との距離は、8∼18mm、平均14mmであった。推定された等価電流双極子の位置は、内側側頭葉てんかんでは内側部よりむしろ側頭葉底部に認められ、海馬からの興奮が波及する部位を示していた。外側側頭葉てんかんでは、より正確に外側皮質の興奮部位を示した。