てんかん研究
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症例報告
ロフラゼプ酸エチルが有用であったLandau-Kleffner症候群の1例
池田 浩子川脇 寿富和 清隆
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ジャーナル 認証あり

2003 年 21 巻 2 号 p. 185-191

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抄録

ロフラゼプ酸エチル(メイラックス®)が脳波異常と症状の一部に対して有用であったLandau-Kleffner症候群(以下LKS)の9歳、男児例を経験した。患者は3歳2カ月より進行性の発語量低下を示し、脳波で多焦点性棘徐波に加え睡眠時に全般性の棘徐波複合がみられ、検査にて言語性聴覚失認を認めLKSと診断された。ステロイドパルス療法を含め、各種抗てんかん薬治療が無効であったが、ロフラゼプ酸エチルにより、流涎減少、口唇と舌の動きの改善、著明な脳波の改善が得られた。ロフラゼプ酸エチルは、近年難治性小児てんかんに使用されつつあるが詳細な報告例は少ない。我々の症例は副作用、耐性もなく開始後2年経過しており、LKSに対して他の治療で効果がみられないときにはロフラゼプ酸エチルを試みる価値があると考えられた。しかし、言語についての改善がみられておらず、長期に脳波異常が持続した例では回復が困難になる可能性が高いようで、早期の脳波改善策が重要と考えられた。

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© 2003 日本てんかん学会
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