抄録
ガンマナイフ治療を2回施行し臨床症状の改善を認めた視床下部過誤腫の14歳の男児例を経験した。生後3カ月に笑い発作でてんかんを発症し、発作は難治に経過した。5歳時に行った1回目のガンマナイフ治療はてんかん発作には効果がなく、問題行動も出現した。12歳時に2回目のガンマナイフ治療を行った。術後一過性に造影効果をともなう腫瘍部位の増大と脳浮腫をきたしたが、術後5カ月頃よりてんかん発作および行動の改善をみた。ガンマナイフ治療の効果判定には時間がかかるが、1回目の辺縁線量が17 Gy以下で、治療後3年を経過して臨床症状の改善が認められない症例において、再度ガンマナイフ治療を検討してみる価値があると思われた。しかし、一過性に頭痛と発汗低下を伴う腫瘍の増大をきたす可能性があり注意が必要である。