2005 年 23 巻 3 号 p. 223-228
欠神発作は一般的には全般てんかんに分類されているが、その中にfrontal absenceとよばれる、発作焦点が前頭領域に推定される一群が存在することが知られている。今回我々は発作症状の推移および脳波所見の変化を後方視的に比較することができた成人のfrontal absenceの一例を経験したので報告する。患者は抗てんかん薬治療に対して難治に経過する欠神発作様の症状と単純部分発作および二次性全般化発作を認めた。長時間ビデオ脳波同時記録にて右前頭部を起始として急速に全般化する3Hz棘徐波複合を捕捉し、臨床的には突然の一点凝視、意識消失、動作停止を呈した。発作間歇期脳波では右前頭部に棘波を認めた。SPECT、PETにおいても同部位に一致する発作焦点の存在が示唆された。また本症例では、症状経過や脳波所見が発達に伴う特異な変化を認め、frontal absenceと典型的な欠神発作との間に差異が存在することを明らかにした。