てんかん研究
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原著
てんかんの、小児から成人へのよりよいトランシションをめざして:報告と提言
渡辺 雅子渡辺 裕貴岡崎 光俊村田 佳子藤岡 真生曽根 大地茂木 太一谷口 豪
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ジャーナル 認証あり

2013 年 31 巻 1 号 p. 30-39

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抄録

日本小児神経学会会員と日本神経学会会員へ、てんかんのキャリーオーバーのアンケートをした。前者では、回答者の95%がこの用語を知っているが、後者では46%と大きな差があった。前者が診療している成人てんかん患者は約27%であった。それぞれ69%、78%が成人のてんかん診療に困難を感じていた。その理由は精神・心理的合併症と法律・制度が共通しており、前者では入院施設がないことと内科的合併症、後者では脳波判読やてんかん発作治療であった。移行を妨げた要因は、前者では1)近くに成人のてんかん専門医がいない、2)患者や家族が転科を嫌がるということであり、後者では、1)小児期からの経過が把握しにくい、2)小児期特有のてんかん症候群に不慣れという点であった。
以上から、てんかんのよりよいトランシションをめざすためには、小児神経科・神経内科のみでなく、精神科などの協力と、関連学会の協同、さらに国民教育が必要であり、提言を作成した。

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© 2013 日本てんかん学会
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