てんかん研究
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教育講演
笑い発作
亀山 茂樹
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2013 年 31 巻 1 号 p. 66-73

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抄録
笑い発作(gelastic seizure、GS)は、特異な珍しい発作型であるが、視床下部過誤腫(hypothalamic hamartoma、HH)の主症状として、楽しくないGSが注目されている。一方、側頭葉てんかん(temporal lobe epilepsy、TLE)では楽しいGSの報告があり、前頭葉てんかん(frontal lobe epilepsy、FLE)や頭頂葉てんかん(parietal lobe epilepsy、PLE)では楽しくないGSが報告されている。本稿では、HH-GSを自験例から分析し、病態生理と神経経路について考察した。HH自体が発作原性ictogenesisであり、視床下部から視床背内側(mediodorsal、MD)核に直接伝播してGSを起動し、顔面神経核を介して笑い表情を繰り返させる発作症候発現symptomatogenesisの仕組みを明らかにした。HH-GS以外のGSや自然な笑いでも視床MD核が笑いのセンターであり、情動を伴わないHH-GS、FLE-GSやPLE-GSは扁桃体を介さないことを明らかにした。また、GSにおける笑い表情の非対称はlateralizing signである可能性が高い。視床MD核がてんかん性脳症発現の機能的原因を作ることも明らかにし、treatableの理由を考察した。
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© 2013 日本てんかん学会
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