抄録
てんかんをもつ子どもの多くは成人期にも診療が必要であるが、成人期の診療科は様々であり、小児期から成人期の診療形態の移行(トランジション)の実態やニーズは明らかではない。今回、患者会の家族を対象に、てんかん診療におけるトランジションの実状に関する調査を実施した。対象は小児期にてんかんを発症し、現在成人である患者の家族である。回答した136名の半数近くは小児科以外で診療を受けていた(成人医療)が、他の半数は小児科で引き続き診療(小児医療)をうけていた。てんかん診療における成人医療への移行の重要な要素として、てんかん専門医への転医が挙げられた。移行期に求められるものとしては、「病気の説明」や「病気の受容や自立促進への取り組み」が求められていた。また、「移行に際しての主治医交代への不安」が大きく、「専門医の紹介や情報提供」、「主治医の交代に対する不安を軽減する取り組み」などが必要であると思われた。