てんかん研究
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Hans Berger褒賞研究報告書
機能的MRIを用いた、側頭葉てんかんにおける不安メカニズムの解明
曽根 大地
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2020 年 38 巻 1 号 p. 54-60

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抄録

てんかん合併症としての精神症状は、しばしば患者の生活に決定的な影響を及ぼす重要な側面であり、精神症状とてんかんの関係は双方向的とされているが、その神経学的基盤は依然として明らかになっていない。てんかんにおける不安症状は、その有病率の高さに比して神経基盤の報告が少なく、特に知見の蓄積が望まれる。本研究課題では、側頭葉てんかん(TLE)患者を対象に、機能的MRIの記憶課題中の言語・表情刺激に対する神経活動と不安症状との関係性を検討した。結果として、TLEにおける不安症状は、言語刺激課題において、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)後方部分への神経反応を抑制し、その領域は恐怖刺激への反応低下領域ともオーバーラップしていた。DMN後方の機能からは、TLEにおける不安症状は、不安による過覚醒および記憶・海馬形成に関連している可能性が示された。

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© 2020 日本てんかん学会
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