2025 年 43 巻 1 号 p. 20-31
要旨:てんかんは患者の多様な症状や歴史的背景から、誤解に基づくスティグマが根強く残り、生活の質を低下させている。近年、国際てんかん協会や国際抗てんかん連盟によるキャンペーンが社会的認識の向上に寄与している。しかし、日本やアジア地域では、依然として文化的要因に基づくスティグマが根強く残り、患者の社会参加における障壁となっている。著者らはAIチャットボット「えぴろぼ」を開発し、偏見の影響を受けることなく必要な情報にアクセスできる環境の構築を目指した。本介入の結果、患者の知識向上や就労への態度改善が確認され、自然言語処理を活用した柔軟な支援の有効性も示唆された。一方、セルフスティグマの軽減には課題が残り、長期的な介入による評価が求められる。今後、AI技術を含む多様な心理社会的支援の有効性を検討し、全国規模の調査を通じて、てんかんを持つ人々や支援者が偏見なく社会参加できる環境の実現を目指す必要がある。